真夜中

声を聞かせて。

ドライブと音楽。

ドライブと音楽、この言葉を聞いて思い出すことがあります。

私は20代半ばですが、そんなわたしがまだまだ小学生だったときのお話。
車ではカセットテープしか聴けませんでした。
モーニング娘。が大好きだった当時の私。
唯一持っていたアルバムを親にテープに落としてもらい、いつもいつも聴いていました。全く興味のない父が覚えるほどに。

ある日、なにかの用で祖父母を乗せてどこかへ向かったことがありました。
そのときも、大好きなモーニング娘。の音楽はカーステレオから変わらず流れ、私もメンバーの一員かのように大きな声で歌っていました。
小学生の私はモーニング娘。の声そっくりに歌っていたつもりだったのです。

私が大声で歌うことは家族にとっての日常であり、なにも不思議なことではなかったのですが、滅多に乗らない祖父母にとっては驚きだったようで、「わぁ~○○ちゃん上手ねぇ!」と言ってくれました。
モーニング娘。になりきって歌っていた私は、まさか「私」を褒められるとは思っておらずひどく動揺しました。私の声はモーニング娘。の声とは全く違うのか、と。
今考えれば、小学生の声と20代程の女性の声がそこまで似ているわけでもないし、仮に似ていたとしてもテープの曲とその場で歌っている声が全く同じように、つまりばれないように歌うなんてほぼ不可能だと思うのですが、当時の私はなぜかそっくりに歌えていると自惚れていたのです。


そのときどこに何をしに向かっていたのかは全く覚えていませんが、父親の運転する車内で、私は定位置の助手席に乗り、後ろの席には母親や姉、祖父母がいたことだけはしっかりと覚えています。緑色の大きな車、大好きなモーニング娘。の曲。


あの頃は歌詞の意味なんてひとつも分かりませんでした。それでも車内のわたしは、モーニング娘。になりきっていたのです。

それからも私はアニメにはまり、ジャニーズにはまり、たくさんの音楽を聴いていくこととなりますが、どんなに好きなものが移り変わっていっても、私が乗るときには私の好きな曲を車内で聴いていました。
カセットテープからMDやCDになり、CDは傷がついて音が飛んでしまったり。
車内で音楽を聴くためだけに、たくさんの音楽をMDに入れていた日々も懐かしいです。
そして気がつけば、いつしかMDはなくなりましたね。
CDからオーディオに取り込んで車内のステレオのHDDの中に大量に私の好きな曲で埋め尽くされていたりもしました。
今ではそんなこともなくなり、ケータイや音楽プレイヤーからのBluetooth接続で何千曲もあるなかの一曲を選んで聴くことができます。
あの頃のように、同じアルバムを目的地まで聴き続けることはもうないのかもしれません。
あのときモーニング娘。になりきっていた私もどこかへ行ってしまいましたが、今でも車のなかはライブ会場なので、大好きな曲をかけ、元気にあの頃よりは小さな声で歌っています。


おしまい。

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by ホンダアクセス